コスメやグルメ、ファッションなどのエンタメとは違ったカルチャーの人気に後押しされた第3次ブームに続く第4次ブームは、誰も予想していなかった事態から生まれた。2020年3月以降、世界的に新型コロナウイルスが蔓延し、ステイホームが推奨されたことから家でドラマや映画を見る時間が増加。テレビとDVDが主流だった視聴環境も変わりつつあり、このころから配信でドラマを見る人が急増した。
中でもNetflixの配信作が、それまで韓国ドラマを見ていなかった人々を取り込んだ。その一番の立役者となったのが、韓国の財閥令嬢と北の兵士の南北ロマンス『愛の不時着』だ。SNSでの盛り上がりに始まって、テレビや女性誌で取り上げられるほどの高い人気は、かつての『冬ソナ』ブームを彷彿とさせた。このヒットで主演のヒョンビンは第3の全盛期を迎えたが、日本ではこの時初めて彼を知ったという人も少なくない。これ1作だけでなく『梨泰院クラス』も大きな話題を集め、主人公を演じたパク・ソジュンの注目度もさらに上昇し、男性層にもアピールした。日本で『六本木クラス』のタイトルでリメイクもされた。
コロナが収束の兆しを見せないまま、自粛生活2年目に突入した2021年。年明け早々『ヴィンチェンツォ』が話題となり、マフィアの弁護士という異例の役を演じたソン・ジュンギがフォーカスされた。この年の後半は『イカゲーム』が世界を席巻。前年に『パラサイト 半地下の家族』がアジアで初のアカデミー賞を受賞し、BTSがワールドワイドな人気を得て、この時期韓国エンタメ全般に世界中から熱い視線が送られるようになって、配信作が増えたドラマの期待値も高まる一方だった。
そんな中、ケーブル局最高視聴率を上げたJTBCの『夫婦の世界』はじめ、強烈なマクチャンドラマとして多方面で話題となった『ペントハウス』シリーズ、近年のKBS週末ドラマ最高の人気作『紳士とお嬢さん』などの大ヒット作がCS局で放送された。ただ、これらの作品もしばらく後に各プラットフォームで配信。また、出演作のほとんどがNetflixというソン・ガンのような次世代スターも出現し、時代の変化を強く感じさせた。
2022年も変わらずNetflix配信作が人気を集め、法廷ヒューマンドラマの大ヒット作『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』、キュートなラブコメディ『社内お見合い』、豪華キャストがそろった『私たちのブルース』、レトロな青春を描いた『二十五、二十一』などが人気に。それに伴い、他のプラットフォームも韓国ドラマに力を入れるようになり、ディズニープラスやU-NEXTなどの存在感が高まったほか、新たな配信元も登場した。
そして2023年、オム・ジョンファ主演の『医師チャ・ジョンスク』、ダーク・サスペンス『マスクガール』、アクションヒューマン大作『ムービング』などのドラマが話題を集める中、コロナの状況も落ち着きを見せたことで、スターが続々来日。再び活況を呈している韓流人気は今後も衰えることはないだろう。
この時期目立った出来事をダイジェストで紹介
●女優の活躍が目立ったドラマ界
イケメン俳優人気から一転、花も実力もある女優たちががぜん存在感を発揮。
- パク・ウンビン 『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』
- キム・テリ 『二十五、二十一』
- キム・ゴウン 『シスターズ』『ユミの細胞たち』
- キム・ダミ 『その年、私たちは』
- ソン・ヘギョ、イム・ジヨン 『ザ・グローリー〜輝かしき復讐〜』
- キム・ヘス 『未成年裁判』『シュルプ』
- ハン・ジミン 『私たちのブルース』『ヒップタッチの女王』
- イ・ソンギョン 『愛だと言って』
●映画スターが続々ドラマ出演
世界配信されるドラマに映画スターが次々に出演するように。
- イ・ジョンジェ 『イカゲーム』
- イ・ビョンホン 『イカゲーム』『私たちのブルース』
- チョン・ドヨン 『イルタ・スキャンダル〜恋は特訓コースで〜』
- ファン・ジョンミン、ハ・ジョンウ 『ナルコの神』
- チェ・ミンシク 『カジノ』
- チョ・インソン 『ムービング』
- ソン・ガンホ 『サムシクおじさん』(制作中)
●90年代生まれのスターが台頭
- ナム・ジュヒョク
- ソン・ガン
- チャン・ギヨン
- ウ・ドファン
- キム・ミンジェ
- リョウン
- イ・チェミン